社会福祉法人典人会は、1993年7月、“認知症のお年寄りの理想郷”を目指して創設された法人です。現在、デイサービス、グループホーム、小規模多機能ホーム、ミニ特養など18の事業所運営をしております。介護事業所・施設も、こじんまりとした、暮らしに根ざした地域の中で、情の深い関りが大切だと感じ、この31年間実践してきました。介護保険事業以外にも、“広げよう! ボケへの理解”を合言葉にボランティア劇団「気仙ボケ一座」を旗揚げし、全国各地、オーストラリアまで公演活動し、2024年10月まで308公演を行っています。また、志を同じくするオーストラリア、イタリア、イギリスとも共同研究などを行い、広いグローバルな視点を職員ひとり一人が持つに至っていると自負しております。

2011年の東日本大震災以降は、災害介護派遣チーム(DCAT; Disaster Care Assistance Team)を日本で初めて法人として組織し、熊本地震、北海道胆振地震、そして能登半島地震で現在も活動しています。また、被災体験からお互いさまの精神を重視し、赤ちゃんからお年寄りまでが集える「居場所」づくりを提唱し、地域の方々とともにNPO「居場所創造プロジェクト」を大船渡市末崎町に設立し、2013年に「居場所ハウス」をオープンさせております。その後も震災の際に寝食を共にした地区に「珊瑚島」「赤崎ほっとハウス」をオープンさせていきました。そこでは、お年寄りたちから子どもたちに文化の伝承をし、また子どもたちからも学ぼうという考え方であり、「方言を学ぶ」「縄なえと正月料理」「竈でご飯をたく」「味噌づくり」「高校生から学ぶ救命救急」などをテーマに学び合うことで、多世代がつながり合うことを大切にしています。

この31年間、典人会に通底しているのは、“常に相手の立場を思いやる情け深い関係性”を追い求めていることだと強く思います。今後とも皆さまのご理解・ご協力を賜りながら新たな目標に向かい、挑戦し続けてまいりたいと存じます。

社会福祉法人 典人会　理事長